パートで130万円の壁(もしくは106万円)を超えない範囲で働いている方、その壁を超えたら手取りはどうなるの?と気になったことはありませんか?
私は先月130万円の壁を超えて、およそ10年ぶりに夫の扶養(第3号被保険者)を外れました。
実質の手取り額がどうなったのか、私の例を元にご紹介します。
第3号被保険者だった方が、壁を超える前と後で比較する際に必要なものが2つあります。
1つは自分の給与明細。2つ目は配偶者の給与明細です。
パートで働いていた時と、正社員になった時の自分と配偶者の給与明細を見て、変わっているところをチェックしました。
パート(第3号被保険者) | 正社員 | |
勤務時間 | 95時間 | 160時間 |
①給与 | 105,000円 | 200,000円 |
②社会保険(健康保険・厚生年金・雇用保険・所得税) | △1,500円(※雇用保険・所得税) | △35,000円 |
③夫の会社の扶養手当 | - | △8,000円 |
④夫の配偶者特別控除 | - | △9,000円 |
実質手取り(①‐②‐③‐④) | 103,500円 | 148,000円 |
実質手取り時給 | 1,089円 | 925円 |
パートから正社員になって増えたもの
勤務時間と手取り収入
正社員になると、60時間ほど勤務時間が増加して、実質の手取りは4万円弱の増加という結果に。
社会保険料の負担額
②の健康保険料と厚生年金は、第3号被保険者では無くなったので、会社と折半して納めるようになります。その2つで月々3万円に近い額の負担が増えました。雇用保険と所得税に関しては、パート勤務時から適用ラインを超えていました。僅かながら納めていた額は、収入の増加に応じて微増していました。
配偶者の住民税・所得税の税負担
④に関しては、住民税の配偶者控除33万円の適用が無くなると、その10%にあたる約3万円ほど配偶者の年間負担が増えることになります。所得税は、38万円控除が無くなると、配偶者の所得税率により負担の額が変わります。住民税・所得税の配偶者の控除が適用されなくなったことで、私の場合は壁を超える前より年間108,000円ほど配偶者の負担が増える計算になりました。
パートから正社員になって減ったもの
配偶者の扶養手当
③に関しては、配偶者の会社の制度により扶養手当の額が変わります。配偶者の扶養から外れたことで、配偶者がもらっていた月々の扶養手当が減りました。
実質手取り時給
悲しくなるなら出さなくても良いのでは……。と自分でも思いますが、現実を知るために計算しました。実質の手取り額は増えましたが、時給に換算すると1,000円を下回る結果に。
パートから正社員になって増えるであろうもの
年金受給額
老齢厚生年金の受給額をシミュレーションサイトで計算してみました。老齢厚生年金は年金の二階建て部分にあたります。こちらのシミュレーションは老齢厚生年金のみなので、老齢基礎年金は額に入っていません。(※老齢基礎年金の満額は昭和31年4月2日以後生まれの方の場合、令和5年度795,000円)
※詳しくは日本年金機構のHPに記載
38~60才まで22年間の平均年収額 | 老齢厚生年金の受け取り月額 | 65才~90才(25年間)で受け取る老齢厚生年金の総額 |
240万円 | 2.8万円 | 840万円 |
300万円 | 3.5万円 | 1,050万円 |
400万円 | 4.7万円 | 1,410万円 |
これまで会社勤めをしていない場合でも、38才~60才の22年間の会社勤めで上記の老齢厚生年金を老齢基礎年金に上乗せして受け取ることができるということが分かりました。
年金は一生涯続くものだと思うと、月々の受取額上昇は長生きすればするほど総受取額に大きく影響しそうです。
私が思うこと
月に約60時間も勤務時間が増えたのに、実質4万円ほどしか手取りは増えない。実質時給は1,000円を切るということを事実として受け止めなくてはなりません。
パート勤務の時は、いかに第3号被保険者として優遇されていたのかということを身に染みて実感しました。130万円(106万円)の壁を超えるには、増える負担や減る手当などを考慮した上で決断すべきだと思います。
ただ、目先の損得にとらわれ過ぎないことも重要なのかなとも思います。将来の受取額の変動はあるかもしれませんが、扶養を外れて働くことで年金の受取額を上乗せできます。
それに、今後収入が上がったり、副業で収入が増えたりしても「壁」はもうありません。以前は、壁を超えないように働く時間を調整していましたが、その必要が無くなりました。そういう意味では気が楽になったようにも思います。
私はこれまで、パート、専業主婦、派遣、正社員と様々な雇用形態で働いた経験があります。
こちらにも私の経験談をまとめていますので、ご興味ある方はご参考にご覧いただけると嬉しいです。
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